RPAとRDAの違いがよくわかってないから、詳しく教えてほしい。それぞれのメリット・デメリットも理解したいな。
こういった声にお答えします。
こんにちは。完全自動化研究所のこさいです。RPA関連の書籍を5冊出版しています。
この記事ではRPAとRDAの違いについて、解説します。
RPAとRDA(Robotic Desktop Automation:デスクトップ型RPA)の明確な定義はなく、現在はほとんど「RPA」と呼ばれています。RDAという言葉を聞く機会もほとんどありません。
でも、意外に違いは大きく、両者の間にある壁は高いんですよ。
一度、整理して理解しておくといいですね。
それでは、どうぞ!
RPAとRDAの違いとは
それぞれの目的と動作環境
RPAとRDAの違いを明確にするために、それぞれの目的と動作環境を見てみましょう。
最初にRDAから、どうぞ。
RDAは個人向け
「RDA」は「個人」としてデスクトップ作業の自動化を行うことを目的としています。デスクトップ型RPAとも呼ばれます。
各自のパソコンに自動化に必要なソフトウェア一式をインストールして、開発・実行するパターンが基本。
ユーザー自身のパソコン内で作成したシナリオをその場で実行でき、自動化の効果を体感しやすいという利点があるので、日本企業では、こちらのタイプを採用していることが多いです。
シナリオ実行中に、ダイアログの選択やファイルの指定といった人間の判断や処理を介在させることで、ユーザーの業務をサポートするシナリオを作成するパターンが広まっています。
RPAに比べて開発は容易で、初期投資は安価(年額数十万円~100万円程度が多い)に抑えられます。マイクロソフトのPower Automate for desktopなら無料です。
>>Power Automate Desktopとは?【5分でわかる】
「各自のパソコンにインストールして利用する」というパターンだけでなく、開発ライセンスと実行ライセンスに分かれているツールも多いです。
開発と実行を分けることで、シナリオを開発するパソコンは少なくして、多くのパソコンでシナリオを実行できます。
もちろん、開発ライセンスの方が高額です。
ライセンスの組み合わせを工夫することでライセンス費用を抑えつつ、スケールアップできます。
RPAは組織向け
「RPA」は「組織」として、大規模に業務の自動化に取り組むことが目的です。
サーバーやクラウドを中心とし、シナリオや実行ログの管理、スケジュール実行などの集中管理が可能。
組織的な完全自動化に向いており、海外の企業で採用されることが多いタイプです。そのため、海外メーカー製が多いのが特徴です。日本では大企業に向いています。
動作環境についての解説は、次の記事を読んでください。
>>RPAの仕組み【図解でわかりやすく解説】
デスクトップ型RPAに比べ初期投資が高価で、年額500万円以上のものが多いです。
ライセンス形態によっては安価に提供されているものもあります。
また、RDAの場合、開発ライセンスを増やすたびにコストが増えますが、RPAツールによっては「同時実行台数にライセンス費用がかかるが、開発端末の台数は何台でもいい」といったものあるので、条件によってはRDAより安くなる場合もあります。
RPAとRDAの比較表
RPAとRDAの比較表で違いを確認しましょう
項目 | RPA | RDA |
---|---|---|
目的 | 企業組織としての業務自動化 | 個人のデスクトップ作業の自動化 |
システム構成 | クライアント・サーバー型またはクラウド型 (集中管理) | スタンドアロン型 |
開発 | RDAより難度は高い | RPAと比べると容易。非エンジニアでも作れるように工夫されている |
運用管理 | 手動実行もスケジュール実行も可能。シナリオや実行結果、ログなどの集中管理ができる | 基本的に手動で実行。 運用は個人に任せられる |
費用 | RDAに比べて初期投資額が高い | パソコン1台につき1ライセンスを購入スタイルが多い。RPAと比べて初期投資が少ない |
規模 | 大規模利用向き | 小規模利用向き |
RPAとPDAのメリット・デメリット
比較表を見てもらいましたが、今度は「メリット・デメリット」という切り口で整理しました。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
RPA | ・サーバーでの集中管理ができるため、運用工数が少なくて済む ・スケジュール実行により、人を介しない完全自動化が実現できる ・複数のPC、サーバーをつなぐ複雑な業務の自動化が可能 | ・高額である ・開発の難度がRDAより高い ・サーバー側の運用保守が必要になる |
RDA | ・初期費用が安価 ・自動化の効果を早く体感できる ・個人的な業務に合わせ細かく調整が可能 ・対話型のシナリオを構築することで、RDAと協働するような利用方法がある | ・開発、運用が個人に任せれるため、制御が困難 ・台数が増えると管理工数が増える ・台数が増えるとライセンス数も比例して増えるので、意外に費用が高くなる |
まとめ
ここまで、RPAとRDAの違いについて解説してきました。両者の間には、大きな違いがありますね。
違いを理解しないままで、ツールを使っている人は多いのではないでしょうか?
でも、「RPAとRDAの違い」は「RPAツールによる違い」じゃないので、注意。
例えば、人気のRPA「UiPath」について考えると、
- 1つのPC上で、RDAとして利用することができる
- 開発ライセンスと実行ライセンスを組み合わせて、中規模の自動化を実現できる
- 運用管理ツール「オーケストレータ」と組み合わせて、RPAとして利用できる
ということで、使い方次第です。
「スモールスタートしたい」ということで、1番のRDAとして利用し始め、規模が大きくなってきたら3番のRPAに移行する、という利用方法が1つのツールで可能なわけです。
「RPAとしても、RDAとしても利用できるRPAツールって便利だな」と思いますよね。
でも、問題が発生することも。
それは、前出の2番「中規模の自動化を実現できる」というパターンのとき。
RDAでもRPAでもない期間があります。
日本には、むしろ、RIA状態で運用している会社がたくさんある、と思います。
RIAは「多くのシナリオを安価で開発・運用できる」というメリットがある反面、「管理工数が増える」というデメリットがあります。
そこで、
僕は、RIA状態にあるUiPathを楽に運用するためのツールを作りました。
ご興味がある方は、こちらの記事もお読みください。
>>UiPath運用支援ツール|Synus(サイノス)