MicroSoftは実店舗のプラットフォーム化に進出しています。 日本マイクロソフトは1月29日、流通業向けにリファレンスアーキテクチャ(基本的な実現方式)となる「Smart Store」を無償提供すると発表しました。
キャッシュレスに伴うスマートフォン決済や数百万種に及ぶ商品在庫を数百店舗で一括管理する商品マスタ、商品トランザクション管理といった店舗ビジネスにおける業務シナリオに沿ったサンプルアプリケーション、サンプルコードが無償で提供されるようです。つまり、Aruzeを基盤とした小売業プラットフォーム開発キッドですね。
表向き「既存小売企業が主役としてサポートする」体をとっていますが、実際はAmazonに実店舗のプラットフォーム化で先に行かれているので(アマゾン、NYにレジなし食品店)、既存小売企業を主役としたまま、Amazon Goのような店舗を作るリファレンスを無償公開して、経験とデータを早く積み上げて追いつこうとしているのだと思います。
Microsoftはすでに無人レジ店舗を運営しています(Microsoft、米スーパー最大手Krogerとの提携で「Amazon Go」対抗店舗を開店 )。
ただし、MicroSoftでWindows95の開発に関わった中島氏はブログ記事「普通の小売業がAmazonに負ける理由」で「Kroger はAmazon とまともに戦える会社ではない」と書いています(この時はまだMicrosoftとの提携前でしたので分かりませんが、経営者の質というのは簡単に変わるモノではありません)。
やすやすとAmazonに追いつける状態ではないのが透けてみえます。また、「日本においては」Amazonに先行したいという強い思いもあるのでしょう。小売業はどの船(プラットフォーム)に乗るか、という駆け引きが強くなってきています。
しかし小売業にとって、同業他社の動向より注意しなければならないのは、いきなり第3者がこのような無償で無人のプラットフォームを使い、小売業を始めることの方でしょう。
IT企業であれば、プラットフォームを使い小売業に進出できるでしょう。このようなプラットフォームに乗りやすい商品は後から考えればいいし、失敗しても大企業にとってはほとんどタダみたいなものです。
いきなり富士通やNECが小売業に進出などということは無いでしょう。自社の顧客とバッティングするからです。しかし、Smart Storeのノウハウを身に付けた会社に出資する形なら有り得るのではないかと想像しています。
ともかく、このような事業体を創れば利益は最小限にできるので、通常の小売業では価格面で勝負になりません。企業努力の通じない世界です。このような未来に対し、小売業側も試行錯誤しています。
日本版Amazon Go!? トライアルがスマートストアの実店舗営業と自動会計の実証実験を開始
[WBS] セブン-イレブンの「無人店舗」!決済は顔認証・・・手ぶらでOK!
ちなみにトライアルホールディングスはMicroSoftの「Smart Store」に賛同している(他にイオン、ローソンが賛同)そうです。以前から進めているAzureを基盤にした「スマートストア」の取り組みとどのように折り合いをつけるのか注目されます。微妙な距離感がありそうですね。。
小売業としては、早めにプラットフォーム化の流れに乗るか、自社で効率化・自動化を進めショックに備えるか、まったく独自の路線でいくのか(ドンキホーテのようにECも行わない、店舗の強みに徹するなど)を見極め、選択する必要があるでしょう。
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