値引管理業務は、会社の利益を守る上で欠かせないプロセスです。たとえば、大量の値引データが複数のシステムやExcelシートに分散している場合、手作業でこれらを集めて確認するのは非常に時間がかかります。また、ポリシー違反を発見するには膨大なデータを一つひとつチェックする必要があり、人的ミスが発生しやすくなります。このような課題のため、対応が後手に回ることも少なくありません。本記事では、Power Automate for desktopを活用して、この重要な業務をどのように効率化し、会社の利益を守るかをご紹介します。
（株）完全自動化研究所代表のこさいです。
1) ITエンジニア歴25年超。RPA開発歴8年超。
2) RPA関連の書籍を6冊出版。
3)RPAトレーニング動画を販売しています。
4)RPAトレーニング研修を行っています
5)ご質問・お仕事のご依頼はこちら！
値引管理業務の効率化と自動化
業務の概要
値引管理の一環として、会社が定めた値引ポリシーに基づき、実際に承認された値引や実施済みの値引が適切であるかを確認する業務です。
業務の課題
値引管理業務では、以下の課題がよく発生します。
- データ収集の煩雑さ：複数のシステムや部門からデータを手動で集める必要があり、時間がかかります。例えば、ある営業チームでは、CRMシステムと会計ソフトからデータを手作業で抽出し、Excelで統合して確認していました。この作業には1日以上かかり、ミスが生じることもありました。その結果、ポリシー違反の値引きを見逃し、会社にとって大きな損失を招いたケースも報告されています。
- ポリシー違反の見落とし：膨大なデータの中から不適切な値引を発見するのは難しく、人的ミスが発生しやすいです。
- レポート作成の非効率性：レポートを手作業で作成すると、ミスや情報の漏れが発生する可能性があります。
- 是正措置の遅れ：不適切な値引が見つかっても、対応が遅れることがあります。
これらの課題を解決するために、Power Automate for desktopを導入することで効率的かつ正確な業務遂行が可能になります。
Power Automate for desktopによる改善
(1) 値引データの自動収集
Power Automate for desktopを使用して、システムや営業部門から値引データを自動的に収集します。
- 営業システムから値引リストを収集
- データをExcelファイルに記録
- 値引理由や詳細を自動基準で操作
(2) 値引ポリシーとの自動照合
Power Automate for desktopのロジックブロックを使用して、値引データを会社のポリシーと照らし合わせます。この過程では、次のチェックポイントが自動化されます。
- 値引率や金額が許容範囲内かの確認（例：通常の値引率は5%まで、特例として10%が上限と設定されている場合、その範囲内かどうかを検証します）
- 承認者の権限レベルを自動検査
- 値引理由の記録不足の防止
(3) 自動化されたレポート作成
値引に関する自動レポートを作成します。以下の情報を自動基準で作成することで、利用者の効率を大幅に向上させます。
- 不適切な値引の件数や詳細
- 影響を受けた金額
- 改善策の提案
(4) 是正措置の実施プロセスの自動化
Power Automate for desktopのアクションで、不適切な値引が発見された場合の対応プロセスを実施できます。
- 従業員への自動メール通知
- 不適切データの自動集計
自動化のメリット
- 正確性の向上：人間のミスを減らすことで、業務の正確性が向上します。
- 時間の節約：手作業を自動化することで、効率的な時間使用が可能です。
- 利用者の負担軽減：作業が簡素化され、負担が減少します。
- 損失の防止：手作業ではつい見逃しがちだった値引のポリシー違反を、自動化によって確実に検出し、会社の損失を未然に防ぐことが可能です。
Power Automate for desktopを活用することで、値引管理における業務効率化と正確性向上を達成し、会社の利益を守りながら、値引ポリシーの守備を実現します。
まとめ
値引管理業務の効率化は、会社の利益を確実に守るための戦略的な鍵となります。この取り組みを通じて、業務の透明性を高め、持続可能な成長基盤を築くことができます。従来の手作業に比べ、Power Automate for desktopを活用することで、データ収集や照合、レポート作成、是正措置といったプロセスを効率化し、正確性を向上させることができます。また、見逃しがちなポリシー違反を未然に防ぎ、会社の損失を削減することが可能です。自動化を通じて業務を最適化し、ビジネスの健全性を維持しましょう。
