RPAツールとETLツールの違いとは?効果的な連携で業務自動化を最大化する方法

「RPAツールとは画面操作が可能なETLツールである」
この考え方を聞いて、「なるほど!」と膝を打つ人もいるかもしれません。この記事では、RPAツールとETLツールの違い、そして両者を組み合わせる意義について詳しく解説します。

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(株)完全自動化研究所・代表取締役社長の小佐井(こさい)
1974年生まれ福岡県出身。中学の頃プログラミングを独習し、みんなが自由で豊かに暮らす未来を確信していました。2000年からプログラマーとして現場でIT技術を身に付け、情シスに転職。多くの人がPCに時間を奪われている現状はナンセンスだと感じていました。
RPAを知り、子供の頃の理想を実現できると感じ、2017年に(株)完全自動化研究所設立。「自動化で人に自由に」の実現のためRPAによる業務自動化の書籍を6冊上梓しています。ご質問・お仕事のご依頼はこちら

RPAツールとETLツールの違い

ETLツールとは?

ETLツールは「Extract(抽出)」「Transform(変換)」「Load(ロード)」の3つのプロセスを実行するソフトウェアです。一般的にデータベース間でのデータ連携や処理を行う際に使用されます。

主な特徴

  • データ処理特化型: データの抽出・加工・保存を効率的に実行。
  • ノンプログラミング対応: プログラミング経験が浅い人でも直感的に操作可能。
  • 安定性: バックグラウンドで動作するため、高速かつ安定している。

代表的なツール

  • DataSpider
  • Talend
  • SQL Server Integration Services(SSIS)

ETLツールは多くのビジネスインテリジェンス(BI)ツールに組み込まれており、特にデータウェアハウスや分析基盤の構築で広く利用されています。

RPAツールとは?

RPAツールは主に業務プロセスの自動化を目的としたツールで、ユーザーインターフェース(UI)上で操作を再現できます。

主な特徴

  • 画面操作の自動化: マウスやキーボード操作をプログラムとして記録・実行可能。
  • ノンプログラミング対応: 非エンジニアでも利用可能。
  • 視覚的なインパクト: 動作が目に見えるため効果がわかりやすい。

RPAツールとETLツールの違い

両者には共通点もありますが、本質的な違いも存在します。

特徴ETLツールRPAツール
操作対象データベースやAPIデスクトップアプリやWebアプリ
動作環境バックグラウンドフォアグラウンド
処理速度高速かつ安定比較的遅く、不安定になる場合も
強みデータ処理・連携画面操作・プロセスの完全自動化

RPAツールとETLツールの適用される範囲にも共通点があります。

なぜRPAツールは人気なのか?

RPAツールが注目された理由は、その視覚的な効果にあります。画面上でマウスが動き、業務を自動で処理する様子は直感的で説得力があります。特にITに詳しくない経営層にとって、「ロボットが作業している」という印象を持つのは強力なアピールポイントです。

一方で、RPAツールは画面変更に弱く、不安定さが課題になることがあります。この点で、ETLツールの安定性には及びません。

RPAツールとETLツールの連携の必要性

単一のツールで業務を完全自動化することは難しいのが現状です。そこで、両者を組み合わせて活用するのが効果的です。

組み合わせのメリット

  1. RPAでカバーできないデータ連携をETLで補完
    RPAツールが得意とする画面操作部分はRPAに任せ、それ以外のデータ処理はETLに担当させます。
  2. 安定性と柔軟性の両立
    バックグラウンドで動作するETLツールを使って安定したデータ連携を行い、必要な場合のみRPAツールを使ってUI操作を実現します。
  3. システム全体の効率化
    データベースやAPI経由の処理はETL、特殊な画面操作はRPAといった役割分担が可能になります。

活用例: DBを中心とした業務自動化

連携のイメージを分かりやすくするために、以下の比喩を使いましょう。

  • DB(データベース): 「将軍」
    システム全体のデータを管理・統制する中心的存在。
  • ETLツール: 「騎馬隊」
    素早く正確にデータを運搬・加工する。
  • RPAツール: 「歩兵」
    戦場(画面操作)で細かな作業を確実に遂行。

このように役割分担を明確にすることで、業務自動化プロジェクトの効率が飛躍的に向上します。

まとめ

RPAツールとETLツールは、一見似ているようでその得意分野は異なります。これらを適切に組み合わせることで、企業の業務自動化はさらに進化します。

もし自社でRPAやETLツールの導入を検討しているのであれば、「何を自動化したいのか」を明確にし、ツールの選定や役割分担を慎重に行うことが重要です。

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