業務の完全自動化を支える理論【DAF理論について解説】

業務を完全自動化したいから、基本からしっかりと理論を理解したい

という人に向けて、記事を作成しました。

記事の内容

・完全自動化の理論(DAF理論)について
・完全自動化に必要な5つの知識

記事の対象読者

・RPAについて知識を持っている
・ITエンジニア

それでは、どうぞ!

この記事を書いた人
この記事を書いた人
こさい
こさい

(株)完全自動化研究所代表のこさいです。

1) エンジニア歴25年超。RPA開発および支援8年超
2) RPA関連の書籍を5冊出版。現在はGPT×PADの書籍を執筆中!
3)当サイトのプレミアム会員募集中!無限回答、動画見放題。詳しくはこちら

業務の完全自動化を支えるDAF理論

こさい
こさい

これから完全自動化するための理論を解説します!

「完全自動化」とは、ホワイトカラーの定型業務を最初から最後まで自動化し、実務者のパソコン作業を無くしてしまうことです。では、実際にホワイトカラーの定型業務を完全自動化するには、どのように考えればよいのでしょう。

定型業務は製造工場に似ている

自動化された工場をイメージしてください。

複数のロボットが投入された材料を加工し、製品に仕上げ、出荷します。監視員はモニターで工場全体のロボットを監視します。大規模になると、複数の工場の連携も監視される事になります。

このような工場をFA(ファクトリーオートメーション)と呼びますが、バックオフィス業務を自動化するということは、自社内に業務の自動化工場を建設することと同じだと言えます。

この概念をDAF(データ・オートメーション・ファクトリー=データの完全自動化工場)と呼んでいます(図1)。

【図1】DAFのイメージ

定型業務とDAF理論の関係性

こさい
こさい

定型業務とDAFの関係性について、詳しく解説します。

僕は「業務を製造工場と捉え自動化する理論」の事をDAF理論と呼んでいます。

ホワイトカラーの定型業務とDAF理論の関係性を図2に示します。

メールや各種システムからデータを受け取ることをDAFでは「投入LINE」と呼びます。受け取ったデータを加工することをDAFでは「加工LINE」と呼びます。帳票やデータを作成することをDAFでは「組立LINE」と呼びます。最後にデータを提出したりシステム入力することをDAFでは「出荷LINE」と呼びます。

業務の一つ一つのステップがDAFのLINE(ライン)に対応していることが分かっていただけると思います。

【図2】 定型業務とDAFの比較

実際の業務はDAFチェーン

こさい
こさい

実際の業務はもう少し複雑ですよね

実際の業務はDAFが複数連なっていることも多いので、この状態を「DAFチェーン」と名付けています(図3)。

図3はDAFチェーンがDAF-1、DAF-2、DAF-3という3つのDAFによって構成されている様子を示しています。

DAF-1の中身を見ると、投入LINE、加工LINE、組立LINE、出荷LINEの4つのLINEから構成されています(図3の下側のボックス)。

DAF-2もDAF-3も同じことなので、図としては省略されています。

【図3】 DAFチェーンとDAF、LINEの関係図

DAFの定義

こさい
こさい

DAF理論の考え方はとてもシンプルです。

DAF理論の考え方は次の2つに集約できます。

  1. ホワイトカラーの定型業務は「工場」の体系で整理できる
  2. 体系化された業務はソフトウェアによって完全自動化できる

とてもシンプルですよね。DAF理論がわかってきたところで、上記の考え方を具体的に定義していきます。

「完全自動化工場」ということですから、以下の5つの項目を満たしていることがDAF理論の定義です。

  1. 人間がパソコン画面を操作するのと同様の操作を自動化できる機能を持っている
  2. 分岐処理や繰返し処理などの実際の複雑な業務フローが実行できる
  3. 例外(エラー)処理の対応、通知が出来る
  4. バッチ処理で実行され、外部から実行状況の監視および実行ができる
  5. これら全体の体系化された知識がある

DAFの満たすべき3つの機能

こさい
こさい

DAF理論に基づいたDAFに必要な機能とはなんでしょうか?

DAFに必要な機能は以下の3つが考えられます。

  1. 人間の作業を代行できる機能
  2. 複雑な製造ラインを実装できる機能
  3. DAFチェーン全体を統制できる機能

それぞれを詳しく解説していきます。

1.人間の作業を代行できる機能

自動車工場で人の手の代わりをするロボットが動いている様子をテレビなどで見たことがあるでしょう。

DAFにおいては、そのロボットと同じ役割を担うのがRPAです。

RPAが登場するまでは、販売管理システムやグループウェア、BIシステム(ビジネス・インテリジェンス:分析ツール)などからデータをダウンロードしなければならない場合は、手作業で行うか、システムを改修してもらう必要がありました。

RPAが「デスクトップの操作を人と同じように行ってくれること」により、手作業を廃絶し、業務の完全自動化が実現できる土壌が整ったと言えます。

2.複雑な製造ラインを実装できる機能

工場の製造ラインは、後工程へ向けて製品を送るだけでなく、製品によって分岐したり、ライン周りのロボットと連動して動いたり、と複雑な動きをします。

同じようにDAFのLINEも条件による分岐や他のツールとの連動など、複雑な処理が実装できる必要があります。工場内で不具合が発生したら、製造ラインが止まり、直ちに品質管理担当者に通知が行くのと同じように、DAF内で例外(エラー)が発生した場合、例外通知ができる必要があります。

また、製造に必要な材料、製造途中の仕掛品の保管場所も必要になってきます。

3.DAFチェーン全体を統制できる機能

現実の自動化工場で、管理室からすべての工程が一元管理できるように、外部から一元的に運用監視およびリモート実行ができなければなりません。

複数のDAFの実行順やスケジュールを制御する必要もあります。例外(エラー)発生時にはリアルタイムで状況を把握し、対応を行います。

DAFに必要な5つの知識

こさい
こさい

DAF構築・開発・運用するために必要な知識をまとめました。

知識1 要件定義

知識2 DAFインフラ技術

知識3 DAF設計

知識4 DAF開発

開発

DAFチェーンは明確なツリー構造で構成されていますので、ツリーを構成する個々の要素の個別開発が可能です。

まず、LINE部分を単独で動くように開発し、手動で実行しながらテストします。

個別のLINEのテストが完了したら、運用監視機能を使い複数のLINEが連動して動くようにします。これがDAFとなります。

DAFが単独で正しく動くことが確認できたら、最後に複数のDAFをつなげて、DAFチェーンを完成させます。

テストラン

現行稼働している業務と並行して、DAFチェーンの運用を実施し、内容や運用体制に問題がないかを確認します。

実際に運用してみると、開発時には見落としていたことが見つかったりします。

また成果物を受け取る実務者の方から、新たな要望が発生することもあります。

その場合、初回リリースに取り込むべきか、それともリリース後の改修案件とすべきか検討します。

知識5 DAFチーム

DAFの案件は、複数の組織(部や課)にまたがる業務が多く、IT技術も上流から下流の知識が必要です。

DAFチームについて解説します。

まとめ

こさい
こさい

DAF理論の考え方はとてもシンプルです。

  • ホワイトカラーの定型業務は「工場」の体系で整理できる
  • 体系化された業務はソフトウェアによって完全自動化できる
めーたん
めーたん

理解できました!

こさい
こさい

DAFに必要な機能は3つです。

  1. 人間の作業を代行できる機能
  2. 複雑な製造ラインを実装できる機能
  3. DAFチェーン全体を統制できる機能

僕の著書「オープンソースで作る!RPAシステム開発入門」では、DAFを構築し運用する方法について詳しく解説しています。

まとめて知識を手に入れたい方は書籍をご購入ください。