【経営企画業務】経営会議資料の作成【Power Automate Desktop 事例】

経営会議資料の作成は、多くの企業にとって欠かせない業務でありながら、非常に手間のかかる作業の一つです。特に、大企業では毎月数十ページにも及ぶ資料を作成するケースもあり、データの収集や集計、整合性の確認、見栄えの整備など、膨大な時間が必要となります。手作業ではミスのリスクが高く、報告の正確性が求められる経営会議資料の作成においては大きな課題となっています。本記事では、MRP(Management Report Package)の自動作成をPower Automate Desktopを活用して効率化する方法について解説します。

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こさい
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(株)完全自動化研究所代表のこさいです。

1) ITエンジニア歴25年超。RPA開発歴8年超
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経営会議資料の作成

業務の概要

経営会議資料の作成は、以下のステップで行われることが一般的です:

  1. データ収集:複数のシステムやExcelファイルから必要なデータを集める。
  2. データ加工:集めたデータを集計し、見やすい形式に整形する。
  3. 資料作成:定められたテンプレートにデータを反映させ、グラフや図表を作成する。
  4. チェック:数値や表現の誤りを確認する。
  5. 提出:完成した資料を経営層に共有する。

これらの作業は多岐にわたり、手動で行うとミスが発生しやすく、作業時間も膨大になることが課題です。

MRP(Management Report Package)のイメージ

業務の課題

手動でMRPを作成する場合、以下のような課題が考えられます。例えば、多くの企業では経営会議資料を作成する際に、複数のExcelファイルを開いてデータをコピー&ペーストする作業が発生します。この過程でフォーマットの不統一や入力ミスが生じ、修正に時間がかかることが頻繁にあります。また、ERPや経理システム、Excel、CRMなどの複数のデータソースからデータを手作業で抽出するため、抽出ミスや不完全なデータの利用につながることもあります。

データソース分析の例
  1. データの収集に時間がかかる:複数のデータソースから必要な情報を抽出するプロセスが非効率。
  2. 人的ミスが発生しやすい:データ入力や加工時のミスにより、誤った情報が経営層に伝わるリスク。
  3. 繰り返し作業の負担:毎月同じような作業を行うため、担当者の負担が増大。
  4. チェック作業の煩雑さ:多くのデータを手動で確認するため、品質管理に時間が取られる。

これらの課題を解決するために、Power Automate Desktopによる自動化を検討します。

Power Automate Desktopによる解決

Power Automate Desktopを活用すれば、MRP作成プロセス全体を自動化できます。例えば、以下のようなフローチャートに沿ってプロセスを整理することで、自動化の全体像を明確にできます。

  1. データ収集 → 2. データ加工 → 3. テンプレート入力 → 4. チェック → 5. 資料共有

これにより、各ステップでどのようなタスクが自動化されるのかが一目で分かります。その具体的な手順を以下に説明します。

1. データ収集の自動化

  • 複数システムからのデータ抽出:APIやRPA機能を使用して、ERPやCRMシステムから必要なデータを直接取得します。
  • Excelデータの統合:Power Automate DesktopのExcel操作アクションを用いて、複数のスプレッドシートを統合します。

2. データ加工の自動化

  • データのクレンジング:不要な行や列を削除し、データを整理します。
  • 計算処理の実行:条件付き集計や複雑な計算も、スクリプトを組み込むことで自動化できます。

3. テンプレートへのデータ入力

  • テンプレートの利用:Power Automate DesktopのUI操作機能を使い、WordやPowerPointのテンプレートに自動的にデータを入力します。例えば、売上レポートや月次報告書のテンプレートに、最新の売上データやKPIを自動反映させることが可能です。また、テンプレートのカスタマイズも柔軟に行え、企業ごとに異なるフォーマットに対応できます。例えば、Excelの指定セルにデータを入力し、それをPowerPointのグラフに自動反映させるプロセスを組み込むことで、より視覚的に分かりやすい資料を簡単に作成できます。
  • グラフや図表の作成:テンプレート上で自動的にグラフや図表を生成するマクロを組み込みます。

4. チェックプロセスの効率化

  • データの自動検証:予め設定したルールに基づいて、異常値や不整合を自動検出します。
  • ログ機能の活用:自動化プロセスでエラーが発生した箇所をログに記録し、迅速な修正を可能にします。

5. 資料の共有

  • 自動通知:作成した資料を指定のフォルダに保存し、Microsoft Teamsやメールで関係者に通知します。
  • バージョン管理:資料の変更履歴を自動で管理し、最新版を常に共有できます。

自動化のメリット

Power Automate Desktopを使用してMRPの作成を自動化することで、以下のメリットが得られます:

  1. 作業時間の短縮:自動化により、作業時間を50%以上削減可能。
  2. 品質向上:手動ミスが排除され、正確なデータが提供される。
  3. 作業の標準化:テンプレートや自動化プロセスを活用することで、誰でも同じ品質の資料を作成可能。
  4. 担当者の負担軽減:単調な作業から解放され、付加価値の高い業務に集中できる。
  5. 迅速な意思決定支援:経営層が必要な情報をタイムリーに入手できる。

まとめ

経営会議資料の作成は、企業の意思決定において非常に重要な業務です。しかし、手動で行う場合は時間と労力がかかり、多くの課題が伴います。実際に、ある企業では、データの収集と集計を自動化することで、経営会議資料の作成にかかる時間を月に20時間短縮し、より戦略的な業務に集中できるようになりました。このように、自動化を導入することで、効率化と品質向上を同時に実現し、企業の競争力を高めることができます。