Power Automate for desktop開発運用保守代行

【経営企画業務】KPIデータの収集と可視化を自動化する方法【Power Automate for desktop 事例】

経営企画部門では、企業の目標達成状況を把握するためにKPI(重要業績評価指標)を収集・分析する作業が欠かせません。たとえば、売上高や顧客満足度といったKPIは、戦略の進捗を測る重要な指標であり、経営陣が意思決定を行う際の信頼できるデータ源となります。そのため、KPIのデータは効率的かつ正確に処理することが求められます。しかし、この作業は多くの場合、手作業で行われ、時間がかかる上にミスが発生しやすいものです。

この記事では、Power Automate for desktopを活用して、KPIデータの収集と可視化を自動化する方法について解説します。自動化によって業務効率を大幅に改善し、経営企画の質を高めることが可能になります。

この記事を書いた人
この記事を書いた人
こさい
こさい

(株)完全自動化研究所代表のこさいです。

1) ITエンジニア歴25年超。RPA開発歴8年超
2) RPA関連の書籍を6冊出版。
3)RPAトレーニング動画を販売しています。
4)RPAトレーニング研修を行っています
5)ご質問・お仕事のご依頼はこちら

業務の概要

経営企画部門でよく見られるKPIデータの収集・可視化業務は次のような流れです。

  1. 各部門からKPIデータを収集する(例:Excelファイルや社内システムからの抽出)。
  2. 収集したデータを整理・統合する。
  3. 分析用のグラフやダッシュボードを作成する。

これらのプロセスには多くの手間と時間がかかり、データの整合性を保つことも課題となります。また、各部門間でフォーマットが統一されていないことも多く、整合性を保ちながらデータを処理するのはさらに困難です。

KPIの例

以下は経営指標としてよく用いられるKPIの具体例です。

  • 売上関連KPI:売上高、平均客単価、新規顧客獲得数、リピート率
  • マーケティング関連KPI:ウェブサイト訪問数、コンバージョン率、広告クリック率、ソーシャルメディアエンゲージメント率
  • 運用関連KPI:在庫回転率、平均納期、製造ライン稼働率
  • 人事関連KPI:社員満足度、離職率、採用成功率、研修参加率

業務の課題

1. 手作業によるミスの発生

Excelでの手動入力やコピー&ペースト作業が多い場合、データの入力ミスや重複が発生しやすくなります。特に、大量のデータを扱う場合、人的エラーが蓄積して後続の分析結果に悪影響を与える可能性があります。

2. 作業時間の増大

複数部門からデータを収集し整理する作業は時間がかかり、他の重要な業務に割く時間が減少してしまいます。特に、収集対象のデータが増えると、その作業負担も比例して増加します。

3. データのリアルタイム性の欠如

手動プロセスでは、最新のKPIデータをタイムリーに反映するのが難しくなります。経営判断を行う際にはリアルタイムの情報が重要ですが、手作業ではそのスピードを確保するのが難しいのが現状です。

4. データフォーマットの不統一

各部門が異なる形式でデータを管理している場合、データの統合や整備に手間がかかります。たとえば、部門AはExcelファイル、部門BはCSV形式、部門Cは社内システムからの抽出といったケースです。

5. データの粒度の問題

データの粒度が統一されていない場合、分析結果にばらつきが生じる可能性があります。たとえば、ある部門は日次データを提出し、別の部門は週次データを提出する場合、データの整合性を保つための追加作業が必要になります。また、あるデータは店舗単位で記録されている一方、別のデータは商品単位で詳細に記録されている場合など、粒度の違いが原因で直接的な比較が難しくなることがあります。このような状況では、正確な比較や総合的な分析が困難になります。

Power Automate for desktopによる解決

Power Automate for desktopを使用すると、KPIデータの収集から可視化までのプロセスを効率的に自動化できます。以下に具体的な方法を示します。

1. 各部門からのデータ収集を自動化

Power Automate for desktopのウェブスクレイピングやファイル操作機能を活用し、社内ポータルや共有フォルダからデータを自動的に取得します。たとえば、定期的に更新されるExcelファイルを指定フォルダから取得するフローを作成します。さらに、社内の販売管理システムから売上データを直接抽出し、顧客データと統合することで、月次レポートを自動生成する仕組みを構築することも可能です。また、社内システムにアクセスし、必要なデータを直接抽出することも可能です。

2. データの統合と整理

データのクリーニングや統合には、Power Automate for desktopのExcelアクションを活用します。具体的には、不要な行を削除したり、複数のシートを1つの統合データにまとめたりするフローを構築します。さらに、異なるフォーマットのデータを統一する処理を追加することで、データ品質を高めることができます。また、データの粒度の違い(例:店舗単位や商品単位など)を是正するには、データベースやETL(Extract, Transform, Load)プロセスを利用するのが効果的です。具体的には、すべてのデータを共通の単位に変換するルールを設け、処理の一環として統一された粒度で処理するステップを追加します。これにより、分析の正確性と効率性を大幅に向上させることが可能です。

3. グラフやダッシュボードの自動生成

Power Automate for desktopを使って、ExcelやPower BIのようなBIシステムでのグラフ作成を自動化します。例えば、毎週の販売データを自動的に収集し、Excelでのグラフ作成やPower BIのダッシュボードに反映させるフローを設定することで、可視化プロセスを効率化できます。Excelでのマクロをトリガーとして利用することで、定型的な可視化作業を短縮できます。また、BIシステムにデータを直接送信することで、リアルタイムに更新されるダッシュボードを構築できます。このプロセスを日次や週次で自動実行するよう設定すれば、最新のKPIデータを常に確認可能です。

自動化のメリット

1. 作業時間の短縮

自動化により、データ収集や整理にかかる時間を大幅に削減できます。その分、分析や戦略立案に集中できます。例えば、従来3時間かかっていた作業が30分以内で完了するようになります。

2. データの正確性向上

手作業を減らすことで、入力ミスや抜け漏れのリスクが軽減され、データの信頼性が向上します。また、プロセスの自動化により、同じ作業を標準化した品質で繰り返し実行できます。

3. リアルタイム性の向上

自動化されたフローにより、最新のKPIデータを迅速に収集・可視化でき、経営判断のスピードアップにつながります。特に、Power BIの活用により、最新データをダッシュボードで即座に確認することが可能です。

4. 業務負担の軽減

単純作業が減少することで、担当者の負担が軽減され、より付加価値の高い業務に注力できる環境を整えられます。

まとめ

KPIデータの収集と可視化は、経営企画業務において重要なプロセスですが、手作業が多いとミスや非効率性の原因となります。Power Automate for desktopを活用することで、これらのプロセスを効率的に自動化し、経営企画部門の生産性を向上させることが可能です。

自動化の導入は一見複雑に思えるかもしれませんが、一度設定すれば継続的な効果が期待できます。さらに、Power Automate for desktopは直感的なインターフェースを備えており、特別なプログラミングスキルがなくても利用可能です。また、公式ドキュメントサポートが充実しているため、安心して導入を進められます。これを機会に、あなたの職場でも自動化の導入を検討してみてはいかがでしょうか?

RPA推進部署および部署リーダーの皆様へ
社内のRPA教育に悩んでいませんか?Power Automate for desktopトレーニング動画「業務自動化!RPA入門 Power Automate for desktop」を販売しています。

  • 初心者でも簡単に学べる内容:
    基本からわかりやすく学べるので、全社員がすぐに活用できます。
  • 視聴人数・回数に制限なし:
    一度の購入で全社員が自由に学べます。いつでも、どこでも繰り返し視聴可能です。
  • スキマ時間で学べる設計:
    忙しいビジネススケジュールの中でも、効率良く学習を進めることができます。
  • Excel業務にフォーカス:
    実務に役立つExcelスキルを中心に、即効性のあるトレーニングを提供します。
  • 動画視聴トライアル:
    全ての動画を無料でご確認いただけます。
詳細は「業務自動化!RPA入門 Power Automate for desktop」をご覧ください!

Power Automate Desktop
完全自動化研究所