「RPA導入における5つの失敗」という動画で、RPA導入・運用の失敗を述べましたが、失敗の原因を見ていきましょう。
RPAで失敗する原因は何か?
動画の内容を文字で読みたい方は、こちらをどうぞ!
失敗1:実務者がシナリオを作れない
RPA導入における失敗の1つ目が「実務者がシナリオを作れない」ということです。
RPA導入したものの、だれもRPAシナリオを作ることがなく、外部業者に作ってもらったシナリオだけを使っているよ、という状態ですね。
実務者が、そもそもRPAツールでシナリオを開発することができない原因は、単純に「ソフトウェア開発や運用の方法を知らないから」です。RPAはソフトウェアです。ソフトウェアの開発を行うのですから、ソフトウェアの開発手法を知らなくては、できるはずがないのです。
しかし、ソフトウェアの開発といっても、大規模な企業向けソフトウェアを開発するわけではありません。まずは、自分の身の回りの業務を自動化できればよいだけです。難しい開発理論は必要ありません。必要なのは基本的なプログラミングの知識です。
プログラミングの知識は、思考方法の「プログラミング的思考」と、実際の開発技術である「コーディング」に分解できます。
特に「プログラミング的思考」がないと、ソフトウェアの開発には支障があります。プログラミング的思考については、別の動画にて解説します。
それでは2つ目の失敗の原因を見ていきましょう。
失敗2:シナリオを効率的に作れない
2つ目の失敗は「シナリオを効率的に作れない」という失敗です。
RPAシナリオを作れるものの、ぐちゃぐちゃのスパゲッティシナリオを生み出してしまって、再利用もできないし、メンテナンスが大変、という失敗です。
シナリオが効率的に作れず、スパゲッティシナリオを生み出してしまう背景には、「抽象化」ができていないということが原因として存在します。
「抽象化」については、別の動画で「プログラミング的思考とは」として解説しますが、ここで簡単に説明すると「整理整頓」できていない、ということです。
整理整頓とは
「整理」という言葉は、何度も登場していますが、「必要なものと、必要ないものを分けて、必要ないものを捨てる」ということです。「整頓」は「必要なものをいつでも取り出せるように秩序立てて配置すること」です。
ソフトウェア開発は、複雑な現実を整理し、シンプルにする仕事です。目に見えないあいまいな概念をコンピュータにもわかる論理的な言語に置き換える、ということですから、学習と訓練が必要です。
整理整頓できていない、ぐちゃぐちゃのままでシナリオを開発したら、効率的な開発などできません。「整理整頓」ができていない、ということは、即ち「設計」ができていないということです。
例えば、設計図もなく自動車が組み立てられるでしょうか?
手当たり次第に材料を組み合わせても、子供の工作のようなモノしかできません。仮に動いたとしても、世界に一台だけの自動車であり、再度同じ自動車を作成することはできません。また、他の自動車に再利用できる部品もないでしょう。
設計せずに、RPAツールを立ち上げて、シナリオを開発し、試行錯誤を繰り返すのは、これと同じことなのです。
失敗3-4:シナリオが止まる/止まらない
次の失敗は「シナリオが止まる」または「論理的なエラーがあるのにシナリオが止まってくれない」というものです。
失敗3と4の原因をまとめて話してしまいます。この原因は「例外」と「変化」に対応できていない、ということです。
ソフトウェア開発においては、「例外」と「変化」に対応することが大切です。どれだけ整理整頓しても、例外と変化は必ず発生するからです。
そのため、ソフトウェア開発の技術者は、長年をかけて例外や変化に強いプログラミング方法を開発してきました。
「デスクトップOS上で行う業務」という、例外や変化が起きやすい状況において、プログラミングするのがRPAです。例外と変更への対策は、十分に行わないといけません。
失敗5:運用管理できない
最後は「RPAの運用管理ができない」という失敗です。RPAの問題の多くは開発時ではなく、その後の運用で発生します。
運用管理ができないという失敗の原因の一つは「設計書がない」ということです。
設計の必要性はすでに述べましたが、たとえ設計をしたとしても、設計書を残していなければ失敗します。設計書を作成することは、設計するのとは、また別の仕事です。
設計書を作成していないために、「メンテナンスできない」「シナリオの引継ぎができない」といった運用管理上の失敗が発生します。結果的に、シナリオ作成者からシナリオが手離れしないことになります。
「シナリオが手離れしない」ということは、「シナリオが属人化している」ということです。「標準化を進めるために導入したRPAが、属人化を進めてしまっている」という皮肉が、日本全国に広がりつつあります。
まとめ
この動画では、RPA導入・運用の失敗の原因を見てきました。
原因としては4つ
- ソフトウェア開発や運用の方法を知らない
- 「抽象化」ができていない
- 「例外」と「変化」に対応できていない
- 設計書がない
を挙げました。
次回は「RPA導入に成功するためにはどうすればいいのか?」について話していきたいと思います。
このチャンネルではRPAに関わる人のためになる話を提供していますので、高評価とチャネル登録をよろしくお願いします。
それではまた!