画像認識型RPAは、画面上の要素を画像として認識し、自動化を実現する技術です。従来のRPAではコードやアプリケーション固有の設定が必要なケースが多い中、画像認識型RPAは視覚的な操作をそのまま模倣できる点で非常に直感的です。本記事では、RPA推進担当者向けに、画像認識型RPAのメリットとデメリットを具体的な例を交えて詳しく解説します。
画像認識型RPAとは
画像認識型RPAは、ユーザーが行う操作を画像としてキャプチャし、その画像を基に自動化を行います。この技術は、特定のアプリケーションやシステムに限定されず、幅広い業務に応用できる柔軟性を持っています。たとえば、特定のボタンやリンクの画像を認識させ、それらが画面に表示されたときにクリックや入力を行うといった動作を自動化します。また、この技術はシステム間での相互運用が難しい環境でも効果的です。
画像認識型RPAのメリット
非エンジニアでも扱いやすい
画像認識型RPAは、専門的なプログラミング知識がなくても操作を記録・再生できるため、IT部門だけでなく、業務部門の担当者が自ら自動化プロセスを作成できる点が大きな魅力です。また、ドラッグ&ドロップでシナリオを作成できるツールも多く、直感的な操作が可能です。
アプリケーションに依存しない
画面上の表示を直接認識するため、システム間でAPIが用意されていない場合でも利用可能です。たとえば、古いシステムやカスタマイズされたアプリケーションにも対応可能で、これにより既存の業務フローを大きく変更せずに自動化を進められます。これにより、レガシーシステムの活用や多様な業務システムの橋渡しとしても有効です。
導入のハードルが低い
画像認識型RPAは、操作を記録してそのまま再生できるシンプルな仕組みのため、初めてRPAを導入する企業でもスムーズに運用を開始できます。これにより、企業全体でDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する足がかりとして利用されることも多く、現場レベルでの小規模な自動化プロジェクトにも最適です。
画像認識型RPAのデメリット
見た目の変更に弱い
画像認識型RPAは、画面のレイアウト変更やボタンのデザイン変更に敏感で、これらの変更があると正しく動作しなくなる可能性があります。たとえば、特定のボタンの色や形が少し変わっただけでも認識に失敗し、エラーが発生することがあります。そのため、安定した運用には対象システムのUI変更頻度を考慮する必要があります。
操作対象が非表示だと機能しない
画像認識型RPAは、画面上に表示されている要素を基に動作するため、操作対象が他のウィンドウに隠れていたり、画面外にある場合には正しく動作しません。たとえば、RPA実行中に別の作業を行うと、予期しないエラーが発生する可能性があります。このため、運用環境ではシナリオ実行中の注意点や適切な実行手順を明確にしておく必要があります。
メンテナンスの手間がかかる
対象アプリケーションが更新されると、それに応じてRPAのシナリオを修正する必要があります。特に、画面のUIが頻繁に更新される場合には、その都度画像のキャプチャを取り直したり、シナリオを調整する手間が発生します。このため、運用におけるコストや労力が増加する可能性があります。また、これを防ぐにはシステムの安定性や更新計画に合わせた柔軟な対応が求められます。
まとめ
画像認識型RPAは、特に初めてRPAを導入する企業や、既存システムが多岐にわたる環境での活用に適したツールです。非エンジニアでも扱いやすい反面、UIの変更に敏感でメンテナンスの手間がかかるといったデメリットもあるため、導入を検討する際は業務内容やシステムの特性を十分に考慮することが重要です。また、運用の効率化や長期的なコスト削減を見据えた計画を立てることで、画像認識型RPAの可能性を最大限に活用できるでしょう。